週刊ポスト

安倍仕分けで大鉈を振るわれたのが、厚生労働省の「地域若者サポートステーション事業」だ。全国160か所に置かれた地域若者サポートステーション(サポステ)でNPOなどの専門家がハローワークにも行けない若者に“約束の時間を守らせる”ところからアドバイスし、就職相談に乗る事業だが、「わかものハローワーク」や「ジョブカフェ」(就職支援センター)など、似た事業が多いことから、仕分けでは44億円の予算がいきなりゼロにバッサリ切られた。 ところが、である。厚労省は補正予算で「若者育成支援事業」と名前を変えて同じ事業に35億円の予算を復活させていたのだ。厚労省の言い分が振るっている。 「ニートと呼ばれる人が働くようになれば納税者になります。消費者にもなるから景気回復にもつながる」(キャリア形成支援室) シロアリたちには予算をゼロにされては困る事情があった。厚労省はこの数年で急激にサポステの数を増やしてきた。そのサポステ運営の指導や研修を委託されている日本生産性本部は、民主党時代の事業仕分けで天下りが27人いると癒着を批判された組織だ。 現在の天下り人数を聞くと、「担当者不在で答えられない」とのこと。厚労省は予算を日本生産性本部への委託費やサポステの人件費に充てているため、なくすわけにはいかない。「ニート支援」はシロアリ利権の絶好の隠れ蓑になっているのである。